債券の様な値動きと言われるPFF
iシェアーズ米国優先株式ETF 【PFF】は「株式ETF」でありながら普段の値動きは債券のように値動きが小さいと言われています。2017年のPFFの値動きを見ると下は37.5米ドルから上は39.5米ドルと、確かに値動きは非常に少ないです。
では、実際に債券ETFと比較してどれくらい値動きが小さいのでしょうか?
PFFとバンガード米国トータル債券市場ETF【BND】を比較してみます。
ただ、値動きが少ないもの同士だと物足りないかもしれませんので、株式の代表としてS&P500指数も比較対象にしています。
S&P500の上昇率が圧倒的!
まずは、2008年1月~2017年12月末までの10年間を比較しました。
青線:PFF、緑線:BND、橙線:S&P500
細かく比べるまでもなく価格上昇率は、S&P500が圧倒的です。10年間で約2倍になっています。このグラフを見る限り、PFFとBNDは息をしていないくらい水平ですね。
PFFは10年間で約17%も下落しています。10年かけて少しずつ少しずつ価格が下落しています。2008年半ばから2010年くらいで大きく値を下げているのはリーマンショックによるものです。この部分はS&P500似た値動きですね。
一方で、BNDは10年間で3%上昇しています。このグラフの範囲では上下のブレはほとんど見られず、小さな値動きをしながら少しずつ上昇しています。リーマンショックから回復した2011年以降は、BNDもPFFも同様に小さい値動きです。
S&P500、PFF、BNDの値動き比較
金融危機発生時のPFFの値動きはS&P500以上
最初のグラフ(10年間のグラフ)で暴落のあった期間(2008年~2010年)に絞り込んでみました。
PFFとS&P500共に大幅下落していますが、値動きが大きく異なります。PFFの方が早いタイミングで大きく下落しています。一時は半値以下(-60%)となっていました。
PFFは金融セクターの優先株が多いため、金融危機などが起こると過剰反応を示すようですね。こういうタイミングで仕込めると将来安泰なのでしょう。きっと怖くて手は出ないと思いますが。
10年間のグラフでは分かりませんでしたが、BNDも2008年10月頃に急落していました。それでも7%程度下落です(2008年1月比)。この辺が超ディフェンシブと言われる所以なのでしょう。
金融危機から回復した2010年以降
2010年以降、PFFとBNDの値動きが共に安定しているように見えた期間を比較してみました。S&P500を入れると細かい違いが見えなくなるので除外しています。このため縦軸のスケールも変わっています。
S&P500も含めていた時、両者は安定かつ違いはないように見えていました。しかし、直接比較するとその違いがはっきり分かります。
PFFはBNDに比べると明らかに値動きが激しいです。ただ値動きが激しいのではなく、下方向に過剰反応を示しています。
配当金再投資した場合どうなるか?
10年間の値動き比較で唯一マイナスになっていたPFFですが、PFFは安定した値動きと共に6%超える高配当ETFとしても有名です。
もしPFFを購入して10年間配当金再投資した場合、どのような成果になっていたでしょうか?値動き比較と同様にS&P500、PFF、BNDで比較してみました。S&P500は、SPDR S&P500 ETF【SPY】を代わりにしています。
評価額はSPY(S&P500)が圧倒的
スタート時にPFF、BND、SPY(S&P500)を10,000米ドルずつ購入し、配当金再投資を行ったケースについて比較しています。期間は2008年1月~2017年12月までの10年間です。
Portfolio 1 : PFF、Portfolio 2 : BND、Portfolio 3 : SPY
6%超という分配金利回りをもつPFFでもSPYには大きく水をあけられる結果となりました。10年経過した2017年12月での評価額は、PFF17,939米ドルに対しSPYは22,496米ドルと5,000米ドルもの差となりました。
初期投資額10,000米ドルからの5,000米ドルの差ですから、この結果は重く受け止める必要がありそうです。
ただ2009年前後の暴落からの回復力は、PFFの方が早いですね。最終的にSPYの方が高い評価額となりましたが、仮に途中で売却してしまった場合この利益を受取ることはできません。S&P500を持ち続けるには長く評価マイナスに耐える忍耐力も重要そうです。
BNDの2017年12月の評価額は14,483米ドルとなっています。10年間で4,000米ドルの利益ですから決して悪い成果ではないですが、PFFやSPYと比べると見劣りします。
一方で2009年前後の暴落時には評価額がほとんど変わっていません。評価額がマイナスになりづらく、安心して長く持てそうなところがメリットですね。
分配金はやっぱりPFF最強
分配金再投資の追加資金となる受取り分配金を比較してみました。これはPFF(青)が圧倒的です。10年目の2017年には1年間で1,000米ドルもの分配金を手に入れています。
仮に11年目以降は分配金再投資を停止した場合、毎年1,000米ドルが入金されます。(税引き前)。1米ドル=110円、税引き後を想定すると毎年8万円の配当。なかなか魅力的ではないでしょうか。
まとめ
・分配金再投資を行うことで、暴落後も早期回復の可能性あり
・やっぱり分配金利回りの高さは魅力的
PFFは値動きが少ないと言いつつも、BNDのような高格付け・短期の債券と比較するとマイナス方向の値動きが過敏でした。少しクセのあるETFですが、分配金利回りの高さは魅力的です。実際に保有する場合、分配金再投資による効果に期待して長く持つことが大切そうです。
参考記事
【米国ETF】BLV:バンガード・米国長期債券ETF リスクを軽減できるか - 家計フォワード ~家計管理と株式投資
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